ゲームモードは、2010年代初頭にテレビとモニターに登場しました。テレビがオペレーティングシステムを搭載し、映像に追加の画像処理を施すようになったことで、ゲームモードはテレビの標準機能となりました。このモードは、PlayStation™ や Xbox™ などのゲームコンソールを接続したとき、またはテレビをモニターとして使用する際に、テレビの反応速度を最適化することを目的としています。
ゲームモードが有効になると、テレビは画像処理を行わず、映像をそのまま表示します。
ゲームモードがどのように機能するか
ゲームコンソールをHDMIでテレビに接続すると、画像はコンソールのグラフィックカードで生成され、表示される前にいくつかの処理段階を経ます。各段階で遅延が発生します:
- 信号の伝送: コンソールは映像信号をHDMI出力ポートから送信し、HDMIデータストリームに変換します。この処理により約5〜10ミリ秒の遅延が生じます。
- テレビによる信号処理: 信号はテレビのHDMI入力ポートに届き、映像として処理され、テレビのプロセッサに送られます。この過程でも5〜10ミリ秒の遅延が追加されます。
- 画像処理: テレビのプロセッサは画像の強化処理を行い、20〜100ミリ秒の遅延が発生します。
結果として、コンソールから画像が転送されてからテレビに表示されるまでの入力遅延は、30ミリ秒から120ミリ秒に達し、ゲーム中にはかなり目立つことがあります。
ゲームモードの遅延削減の仕組み
ゲームモードは、映像出力を高速化し、遅延を減らすために可能な限りすべての処理を無効にします。遅延の主な原因はテレビのプロセッサで、これは次のような画像強化機能を使用しています:
- Samsung: Digital Clean View、Ultra Black、Auto Motion Plus
- LG: TruMotion、Noise Reduction
これらの機能は画像の品質を向上させますが、処理時間を長くするため、表示の遅延が発生します。ゲームモードを有効にすると、これらの機能は無効化され、遅延は20〜30ミリ秒に減少します。これにより、プレイヤーにとってより迅速な反応が可能になります。
現代のテレビにおけるゲームモードの追加機能
テレビがゲームコンソールやモニターとして使用されることが増える中、テレビメーカーはゲームモードに関連する新しい機能を追加しました。例えば:
- 高いリフレッシュレートのサポート: HDMI 2.1ポートを搭載した新しいテレビは、4K解像度で144Hzのリフレッシュレートをサポートします。これは特にマーケティングの要素が強いですが、一部のゲームでは有用です。
- 可変リフレッシュレート(VRR): テレビは、コンソールのフレームレートに自動的に適応し、スクリーンティアリングやスタッタリングを防ぎます。これにより、追加のリソースを使用せずに、より滑らかな表示が可能になります。
- Auto Low Latency Mode(ALLM): テレビは接続されているコンソールを自動的に認識し、ゲームモードを自動的に有効化します。これにより、ユーザーは手動で設定を変更する必要がありません。
ゲームモードとゲーム体験の向上
テレビはますますゲームコンソール用のモニターとして使用されるようになり、オペレーティングシステムの開発者はゲームモード専用のメニューを追加しました。たとえば:
- Game Bar(Samsung): ゲームの統計情報、フレームレート、入力遅延などをリアルタイムで表示する画面上のメニューです。これにより、ユーザーはメインメニューに戻ることなく、すぐに画像設定を調整できます。
ゲームモードと新しい技術により、プレイヤーはより迅速な反応、スムーズな動き、そして優れたゲーム体験を享受できます。